旅のおわり世界のはじまり

STORY - ストーリー

「みなさん、こんにちはー! 今、私はユーラシア大陸のど真ん中、ウズベキスタン共和国に来ています」

カメラが回り、だだっ広い湖畔に明るい声が響く。ジャージにペンギン(防水ズボン)をはき下半身まで水に浸かっているのは、葉子(前田敦子)。バラエティ番組のリポーターを務める彼女は巨大な湖に棲むという“幻の怪魚”を探すため、かつてシルクロードの中心地だったこの国を訪れていた。だが、精いっぱい取り繕った笑顔とは裏腹に、お目当ての獲物は網にかかってくれない。ベテランのカメラマン岩尾(加瀬亮)は淡々と仕事をこなすが、“撮れ高”が気になるディレクターの吉岡(染谷将太)の苛立ちは募るばかりだ。ときに板挟みになりながらも、吉岡の要求を丁寧に通訳するコーディネーターのテムル(アディズ・ラジャボフ )。その間を気のいいADの佐々木(柄本時生)が忙しく走り回っている。

万事おっとりした現地の人たちと取材クルーの悶着が続くなか、与えられた仕事を懸命にこなす葉子。チャイハナ(食堂)では撮影の都合で仕方なく、ほとんど火が通っていない名物料理のプロフを美味しそうに食べるしかなかった。もともと用心深い性格の彼女には、見知らぬ異郷の文化を受け入れ、楽しむ余裕がない。美しい風景も目に入らない。素の自分に戻れるのは唯一、ホテルに戻り、日本にいる恋人とスマホでやりとりする時間だけだ。

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収録後、葉子は夕食を求め、バザールへと出かけた。言葉が通じないなか、地図を片手に一人でバスに乗り込む。見知らぬ街をさまよい歩き、日暮れとともに不安がピークに達した頃。迷い込んだ旧市街の路地裏で、葉子は家の裏庭につながれた一匹のヤギと出会う。柵に囲われたヤギの姿に、彼女は不思議な感情を抱く。

相変わらずハードな撮影は続いていた。首都タシケントに着いた葉子は、恋人に絵葉書を出すため一人で郵便局へと出かける。広い車道を渡り、ガードレールを乗り越え、薄暗い地下道を通り抜け…あてどなく街を歩くうち、噴水の向こうに壮麗な建物が見えた。かすかに聞こえた歌声に誘われ、葉子が建物に足を踏み入れると、そこには細かな装飾を施された部屋がいくつも連なっていた。一つ、二つ、三つ、四つ、五つ、六つ…。まるで白日夢のようにそれらを巡り、最後の部屋の扉をあけると、目の前には大きな劇場が広がっていた—

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6月14日(金)全国ロードショー

前田敦子 染谷将太 柄本時生 アディズ・ラジャボフ / 加瀬 亮  監督・脚本:黒沢 清  製作:坂本敏明 水野詠子 太田和宏 宮崎伸夫 吉野達也 山本 浩 フルカット・ゾキロフ  プロデューサー:水野詠子 ジェイソン・グレイ 西ヶ谷寿一 アソシエイトプロデューサー:西宮由貴  協力プロデューサー:森山 敦 山口幸彦 飯田雅裕 ラインプロデューサー:飯塚信弘 音楽:林 祐介 撮影:芦澤明子 照明:永田英則 美術:安宅紀史 録音:渡辺真司 VE&DIT:鏡原圭吾 編集:髙橋幸一  スタイリスト:纐纈春樹 ヘアメイク:HAMA 音楽プロデューサー:和田 亨 音響効果:柴崎憲治  スクリプター:柳沼由加里 助監督:海野 敦 制作担当:相良 晶  製作:「旅のおわり世界のはじまり」製作委員会 制作:東京テアトル ローデッド・フィルムズ  制作プロダクション:ジャンゴフィルム 助成:文化庁文化芸術振興費補助金(国際共同製作映画)  特別協力:ウズベキスタン国家観光発展委員会 配給・宣伝:東京テアトル  2019年/日本・ウズベキスタン・カタール/120分/5.1ch/シネスコ/カラー/デジタル  ©2019「旅のおわり世界のはじまり」製作委員会/UZBEKKINO

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